026 ちょうどよい段階
いいぞ、いいぞ!
わたしは、お昼に公園のベンチにすわって、
お弁当を食べてました。
女の子が、自転車をこいでいます。
お父さんのところで、こぐのをやめて、
足をペダルから離して、
靴を地面にこすりつけることで自転車を止めます。
お父さんは、
ブレーキ、ブレーキ
と言って、手で、ブレーキを握るしぐさをします。
女の子は、もう一度、自転車をこいで、前に進んで、
ブレーキを握ります。
急にガクンと自転車が止まり、
女の子は、サドルからおしりがはなれて、
前に、つんのめります。
それから、女の子は、自転車にまたがったまま、
歩いて、
自転車の向きを変えます。
ペダルをこいで、お父さんの方に向かいます。
お父さんのそばで、ブレーキを握ります。
自転車の速度が落ちて、
ちょうどお父さんのところで止まります。
いいぞいいぞ!
お父さんは、女の子に言ってました。
「勉強の技術」であげられている、
3つの勉強の障害の中のひとつに
段階の飛び越し
があります。
なにかのやり方を学んでいるときに、
いきなり難しいことをしてしまうと、
混乱してしまうことがあります。
子供に、自転車の乗り方を教えるときにも、
ひとつずつ、段階をふんで、
練習させていく必要があります。
一度にたくさんのことをやらせようとすると
うまく行きません。
自転車を倒さないで前に進ませることと、
ペダルをこぐことは、別の動作です。
子供に、いきなり最初にペダルをこがせようとすると、
たぶん倒れてしまうでしょう。
そのときは、一つ前の段階が必要です。
わたしは、ペダルでこがせる前に、
自転車にまたがらせて、
足で地面を蹴って前に進ませます。
これを何度かやらせることで、
倒れずに進む感覚がつかめます。
これが十分にできた上で、
ペダルを使って、前に進ませるようにします。
そうすると、子供はペダルの便利さに気づいたりします。
こうして、段階を細かく分けて、
ひとつずつ確実にすすめていくと、
しまいには、難しいこともできるようになります。
最初にあげたお父さんは、
ブレーキだけを練習させてました。
それで、女の子は、ブレーキを使って、
自転車を止められるようになりました。
これは、段階をひとつずつ踏んでいるよい例ですね。
関連リンク