実際に起きている現象はある。でも起きていることに名前をつけたところで、解決につながらないのであれば意味はない。それはただのレッテル。
いろんな問題があるように見えるかもしれない。
注意を向けたところにエネルギーが注がれる。
できないところ、問題点に注意を向けると、そのできなさ、問題が増幅していく。だからそれはいつまでも続いて強固なものになっていってしまう。
落ち着きのない子供。周りの大人は扱いに困る。座っていられない。周囲の子供たちとすぐにぶつかり合ってけんかする。いやがられることで大人の注意を引くことに一生懸命。
何が問題なのか?
あげていくといくつも問題は出てくる。
たくさん問題があるように見える。
発達に問題がある。だから発達障害だとか、行動が多すぎるだから多動だとか、もっともらしく聞こえるが、実際のところ、何も言っていない。
その状況を引き起こしている原因と解決策を示していない。
なんとなく脳に問題があるかのように言っている人はいるが、それを証明した人はどこにもいない。脳に問題があるという根拠はどこにもない。
思い込みと憶測が積み重なってそれが事実かのように言われているが、脳が機能しているところを見たことがある人はいない。何が正常な状態なのか、何が異常な状態なのか、明確に定義づけられているわけでもない。
実際のところ何が問題なのか?
寝不足だったり食事が偏っていたり、充分でなかったりといった身体の問題はある。それはそれで注意しなくてはいけない。
身体の問題については対処したとして、根本的には、たどっていくとすべてはコミュニケーションの問題にいきつく。
その子と他の生徒、先生との間で、コミュニケーションがまともに成立しない。何か聞いたとして、答えが返ってくるまでにやたら時間がかかったり、返ってこなかったり。
なぜコミュニケーションがおかしくなるのか?
一番根本的な原因は、コミュニケーションにおいて使われている言葉が理解されていなかったり誤解されているから。
だから、その誤解を解いて理解させてあげればいい。
ただ、それができるようになるまでには、お互いの信頼関係が成り立っていることが必要。
個人塾をやっている友人の話。
ある小学生の女の子。
薬は良くないということは分かっていた。
薬をとっていなかったことはよかった。
とにかく、まずはコミュニケーションをとる。
彼女の話を聞く。聞いたら受け取ったことを伝える。
それからこちらから彼女が受け取れる形で話をする。
そこでわかったこと。
ものすごく集中力に欠ける。何か聞いたとしても、すぐに注意があっちこっちの関係ないところに飛び、答えが返ってこない。
とにかく語彙が少なく、変な誤解がたくさんある。
「とうふ」はなぜかわからないが「こおり」なのだそうだ。
ひとつひとつ言葉の誤解を解いていくことをしばらく続けていたら、彼女は変わってきた。
だんだんとお互いにコミュニケーションが成立するようになってきた。
最近の出来事。
「ひっぱる」の意味を理解した。
あっわかったあああああ!!!!
それで、ああこれはやっちゃだめだ。と自分が今までしてきたことが、周りにとってよくなかったことに自分で気がついた。
クラブ活動で走り高跳びを自分で決めてやろうとしていた。でもどうしてもうまく跳べなくてもうやらない!!!!!となっていた。
そこで、
あなたは、自分でやろうとしていて、とべるようになるのが目的で、今ここで止まっていてできないできないって言ってる。どうするの?
って彼女の状況を彼女に分かるように話した。
で、そこで見つかったこと。「右」と「左」がなんなのか分かってなかった。
それを理解した瞬間にあああああああっ!!!!となって、
先生に言われた足の動かし方、1,2,3で右足をあげてということがどうすることなのかを一瞬で理解してできるようになった。
そうしたら、先生今日は何やりたいの?
と聞いてきた。
またコンパスを使って円を描いて欲しいの。
これまで何度も描こうとしてきたが、どうしてもうまくできないでいたこと。
それが彼女は、ものすごい勢いでコンパスと定規を使って、自分で半径3cmの円を描いた。
できるとは思っていなかったことが、できるようになってそのことに彼女自身が驚いていた。
言葉を理解すると行動が回復する。
解決策はここに。